
チッソボカン誕生の背景
本脱窒技術は、元々日本の技術になります。20数年前に日本国内企業が開発して特許を取られましたが、既に特許は失効したことにより、弊社では本脱窒技術をもとに提携工場で製造した脱窒ペレットを販売開始いたしました。
2022年5月開催の環境展でお披露目してから日本全国よりお問合せを多数いただきました。この度、弊社は本脱窒技術を応用し、顧客が導入しやすいようにタンクやポンプを含む自動制御機器のパッケージ製品として完成させ、その製品を「チッソボカン」と命名し、2022年10月13日に販売を開始いたしました。

チッソボカンの特徴
① 排出規制に早急に対応
煩雑な工事(脱窒反応槽、メタノール定量添加装置など)を必要としないために、排水中の窒素濃度の排出規制に早急に対応することが出来ます。
② 低ランニングコスト
従来、脱窒のためにメタノールを必要としておりましたが、本製品はメタノールを一切必要といたしません。脱窒ペレットに含まれている硫黄酸化脱窒菌がペレット表面にて硝酸塩呼吸を行い、その結果として窒素がガスとして放出されます。
③ メンテナンスフリー
硝酸態窒素の流入濃度と排出濃度と水量からタンクの大きさを設定します。ユーザー自身で脱窒ペレットが補充可能な設計となっております。また流入する硝酸態窒素の負荷変動に対し脱窒菌が調整不要で脱窒します。
④ ユーザが設置可能
独立したタンク、ポンプ2機、電源ボックス、配管で構成されておりますので、ユーザー自身が流入口と排出口に既存排水設備(沈殿槽等)から配管し、電源を接続することで運転が可能となっております。


チッソボカン 導入メリット 「3つのゼロ」
① メタノール使用量がゼロ
メタノールを一切使用しないため、ランニングコストが大幅に下がります。
② 煩わしい調整の手間がゼロ
メタノールの添加調整など煩わしい操作が不要です。また硝酸態窒素の負荷変動に対しても柔軟に対応します。
③ 代謝汚泥の産廃処分費用がゼロ
通常、脱窒処理には多量のメタノールを使用するので代謝汚泥による産業廃棄物が発生しています。しかし、今後その産廃処分費用は一切かかりません。


よくあるQ&A
パッケージということですが、何で構成されていますか?
リアクターと呼ばれるタンクの他、既存排水設備から取水してリアクターに流入するまでの流入ポンプ、リアクターの排水を循環させるための循環ポンプ、流量計、自動制御のための制御ボックスには、タイマー、リレー、また脱窒するために脱窒ペレットなどで構成されております。

どんな手順でウチの脱窒を具体的にご相談できますか?
まず当サイトの下部にある問合せ・見積依頼フォームからご連絡下さい。
およその納品までのフローは次の通りとなります。(お客様は青色、弊社対応は赤色)
- 問合せ・見積依頼フォームからのご連絡
- 弊社からお返事(2営業日以内)
- オンライン会議(困りごとを直接お聞きします)
- サンプル排水を発送(ポリタンクを2つ、約40Lに排水を入れて弊社までお送り下さい)
- 排水分析、脱窒試験
- 試験レポートと見積書を提出
- ご発注
- 製造開始(完成まで約2ヶ月)
- 納品、配管設置
- 試運転及び操作説明
納品されたらどのようにして始めたらいいですか?
脱窒ペレットと呼ばれる硫黄酸化細菌が含まれている担体が予めセットされているチッソボカンを納品します。
納品されましたら、既存浄化設備の放流直前となっている沈殿槽に付属の流入ポンプ(水中ポンプ)をセットします。
一方、チッソボカンの上部から出ている排出ノズルから溜桝などの放流先に配管します。
また配線図通りに、制御ボックスへの電源を接続します。これで脱窒運転を開始可能となっております。

チッソボカンに入れる排水の条件はありますか?
チッソボカンは、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の脱窒が可能ですが、アンモニア性窒素の脱窒はできません。
つまりチッソボカンに流入する前の排水に、アンモニア性窒素ができるだけ含まれないようにお願いします。
またSSは30mg/L以下、PHは弱アルカリが望ましく、DOは2mg/L以下、塩分濃度は1%以下でお願いします。
農薬や重金属等の微生物に害を及ぼすものがあればお避け下さい。
とても便利そうな脱窒製品ですが、懸念点は何ですか?
流入原水の硝酸態窒素濃度に対して応分産生される硫酸イオンや、その硫酸イオンと結合して析出形成された硫酸カルシウム等が微量のSSとなって放出されることが懸念されます。
また微生物の働きに依存しているので、排水の水温は10℃以上、できれば15℃になっていることが望ましいです。しかしチッソボカンの寒冷地仕様の場合、タンクを温めるヒーターが付いていますので、若干電気代はかかりますが脱窒に支障がないようにすることが可能です。
脱窒ペレットがトータル窒素を削減する仕組みを教えてくれますか?
窒素を含んだ排水には、有機窒素と無機窒素があります。
有機窒素は「O-N」で表され、それは曝気槽で曝気することによって微生物の働きで、アンモニア性窒素「NH4-N」となります。
さらに曝気していくことによって酸化されて、亜硝酸性窒素「NO2-N」となります。さらに酸化すると、硝酸性窒素「NO3-N」となります。
チッソボカンでは、独立栄養性細菌である硫黄酸化脱窒菌を硫黄をベースにしたペレットに担持していますが、上記の硫黄酸化脱窒菌がペレット表面にて硝酸塩呼吸を行い、その結果として窒素がガス「N2」として放出され、脱窒できるという仕組みとなります。
NO3- + 1.10S + 0.40CO2 + 0.76H2O + 0.08NH4+ → 0.50N2 + 1.10SO42- + 1.28H+ + 0.08C5H7O2N

ランニングコストはどのくらいかかりますか?
チッソボカンは化学薬品を一切使用せず、硫黄酸化脱窒細菌という微生物を使用しているため、ランニングコストはほとんどかかりません。
具体的には、リアクターと呼ばれるタンクへ従来の排水設備から流入させるための流入ポンプと、リアクター内の排水を循環させるための循環ポンプのポンプ電気代がランニングコストとなります。
また3年に1度、減少した脱窒ペレットの補充分(当初のペレットの量に対して3%から5%)が必要になる程度です。
他に脱窒ペレットをつくっているところはないんですか?
脱窒ペレットは国内の大手メーカーさんが開発されて特許を取得されましたが、関連特許はすべて失効しております。
その後、大手メーカーが製造されていますが、他に日本国内で製造しているところはありません。
養豚場を経営していますがチッソボカンを導入するにはどうしたらいいですか?
すでに曝気槽でアンモニア性窒素濃度を低くされている場合には、チッソボカンでその後の硝酸性窒素を除去することは可能です。もしアンモニア性窒素の濃度が高い場合には、チッソボカンに流入させる前に、十分にアンモニア性窒素の濃度を下げてやる必要があります。
アンモニア性窒素の濃度を下げる方法は次の3通りです。
- 曝気槽を増やす
- 微生物固定化PVA担体を曝気槽に入れる
- 膜分離システムを入れる(MBR)
現実的には曝気槽を増やすことは難しいと思われるために、2のPVAか、3の膜分離が必要になると思います。いずれも弊社では効果のあるPVAと膜もご提案可能となっておりますので、お気軽にお問合せ下さい。
無機系排水が1日100トンを超えています。これでもチッソボカンは使えますか?
チッソボカンでは、一番大きなサイズで、型番CB-300が水槽容量3,000Lとなっております。その場合の水量は45㎥/日を想定していますので、それ以上になりますとチッソボカンでは対応できないため、個別で対応させていただきます。
もしお客様が水槽などの設備をご用意された場合には、弊社からは脱窒ペレットのご提供のみとなります。弊社が水槽などの設備を用意することも可能となっております。弊社の中国の協力会社では 水量が1日50,000トンまでの実績があります。
河川放流していますが、その先は閉鎖性海域で規制が厳しいです。これ使えますか?
日本全国にはかなり沢山の閉鎖性海域と呼ばれるところが存在しております。通常の河川放流よりも排水規制が厳しくなっております。
チッソボカンは大変コンパクトであり、なおかつカンタンに設置、運用することが可能ですので、ご利用いただけると思います。
当社は上場企業で自主規制が厳しいです。浄化槽にもチッソボカン使えますか?
浄化槽の最後に放流する直前の沈殿槽からチッソボカンに流入させ、チッソボカンから放流することによって、自主規制値に収まることが可能です。
チッソボカンはどういう種類がありますか?
チッソボカンは次のように3つの水槽の大きさをご用意しております。
低負荷と高負荷の事例も併記いたしましたので、ご参考ください。

脱窒ペレットの比重はどのくらいですか?
脱窒ペレットの比重はおよそ1.0であり、水とほぼ同じくらいです。
例えば、型番CB-100の水槽容量1,000Lの場合、脱窒ペレットは最大500kgを入れられますので、その場合の脱窒ペレットは500Lほどになります。
導入するのに補助金ありますか?
現在、脱窒そのものについての補助金はないと思われますが、現在、多量のメタノールを使用されている場合に、その代謝汚泥を産廃として出されているなら、産廃を減らすための補助金は存在すると思われます。
詳しくは、弊社にお問合せ下さい。
窒素濃度の上限はありますか?
推奨している流入窒素濃度は 500~600mg/L を上限としております。
それ以上の濃度は脱窒ペレットの量と滞留時間の設定で実現可能と考えられますが、硫化物イオンが増えてしまうので、高濃度の場合には前処理として流入する窒素濃度を抑えていただきますようお願いいたします。
イニシャルコスト、ランニングコストはどのくらい?
まず処理水量(㎥/日)、流入するトータル窒素濃度、目標トータル窒素濃度、また処理水の水質データをいただき、脱窒ペレットの必要量や滞留時間を計算してからご提示が可能です。
またランニングコストはポンプの電気代と3年に1度補充する脱窒ペレット代となります。
電気代は、上記の計算によって、必要となるポンプの規格を求めてから計算できます。補充分の脱窒ペレットは、最初にセットした脱窒ペレットの5%程度、最大10%を3年に一度投入する分となります。



